転倒対策① リスクについて
<転倒のリスクについて>
「転倒には気をつけてください!」と言われても、「わかってるって」としか思いませんよね。
そこで、リスク評価・リスク回避の指導が大切です。
そして家族など介護者、理学療法士などとの情報共有が大切なんです。
■「私の患者さんは転倒するだろうか?」
JAMA. 2007 Jan 3;297(1):77-86. PMID:17200478
① 転倒リスク(1年1回以上)
② 転倒リスク(年間2回以上)
★重要なLR+
病歴:
脳卒中既往、認知症、パーキンソン病、1年以内の転倒歴、常に転倒を恐れている、過去1ヶ月で4日以上の臥床、薬剤(ベンゾジアゼピン、フェのチアジン、抗うつ薬)
フィジカル:
タンデム拙劣、膝の痛覚・振動覚、10mを13秒以上かかる、膝の高さの椅子で肘かけ使わず立てない など
Get Up and Go testも有名ですが、評価は様々です。
僕は簡便なので参考としてやってます(診察室でどこからどこまでが3mかをチェックしておけば、ストップウォッチ(スマホ)さえあれば何とでもできる!)。
他には、30秒間イス立ち上がりテスト
30秒間で何回椅子から立てるか(両手は胸元でクロス!)チェック
https://www.cdc.gov/steadi/pdf/STEADI-Assessment-30Sec-508.pdf
薬剤誘発性の転倒としては、。ベンゾジアゼピンなど以外にも、
いわゆるZ-drug(ゾルピデム、ゾビクロンなど:一方エスゾビクロンは問題なし)、認知症治療薬、定型・非定型抗精神病薬、その他降圧薬(β-blockerは問題なしという報告あり)、利尿薬、NSAIDs、ジゴキシン、血糖降下薬などがあります。
血糖降下薬については、転倒に関するシステマティックレビュー&メタアナリシスが先日出ていました。
Obes Rev. 2019 Oct;20(10):1494-1503. PMID:31250977
■骨折と関与する
インスリン (RR 1.49, 95% CI 1.29, 1.73; n = 23 studies)
SU薬(RR 1.30, 95% CI 1.18, 1.43; n = 10)
チアゾリジン(RR 1.24, 95% CI 1.13, 1.35; n = 14)
■骨折を減らす
メトホルミン(RR 0.86, 95% CI 0.75, 0.99; n = 12).
メトホルミンの万能感すごい〜とはいえメトホルミンは糖尿病治療の初期に処方されること、メトホルミンのみならずその他の薬剤についても交絡因子についての検討のため追加のRCTが必要と結論づけています。
色々と学ぶこと多いですね。