人生初のヘルパー(介護士)業務@グループホームのとりとめない雑感・覚書き

昨日、人生初のヘルパー(介護士)体験をした。

普段訪問診療に伺っているグループホームで、人手不足のため役にたちたい、という思いと、単純に自分の経験としてやっておきたいと考えて参加させていただいた。

普段のノリで行ってしまうのは、なんか違うかなと思い、敢えて医師らしさを消しつつ、1ヘルパーとして乗り込んだ。

少し悩んで、車の中に敢えて聴診器を置いてきた。

忙しさで言えば、僕が日常的に診療所でやっている業務と大きく変わらず、ドタバタ、マルチタスクであった。

すぐに立ち上がろうとする認知症のある方の安全を考えると、どうしても1つの作業、たとえば料理、他の利用者さんのトイレ介助などに集中できずに、あっち行ったり、こっち行ったりと大変である。

今日の経験としては、入浴介助(女性の入浴介助だったけど、これって利用者さんは恥ずかしくなかったのかなと入浴中に心配になったな〜)、トイレ介助、他は普通に風呂掃除や皿洗い。そしてお話し。

1時間くらい手を握って離さない方がおられたが、普段の訪問診療時には中々時間が取れないこともあり、ここまでゆっくり向き合って、要望に応えられたのは良かった。

 歳いってきたら、ハードな仕事だろう、確かにつらいだろうと思う。

ただ、やり甲斐はものすごく、ものすごくある。

素敵な仕事だと純粋に思った。

これを楽しいと思えるか思えないか、そして給与面で釣り合っているかいないか、大切なところだろう。

給与面は死活問題である。

利用者さんのこと、患者さんが喜んでくれるかな?という思いがあったら、忙しくても楽しく振る舞える。振る舞い続けたい。

これで喜んでもらえたら、本当に嬉しい。

それは医師でも、介護職でも、どんな職種でも同じ感覚であると思うし、やり甲斐につながる大きな理由だと思う。

もう2時回っている・・おやすみなさい。

転倒対策① リスクについて

 <転倒のリスクについて>

「転倒には気をつけてください!」と言われても、「わかってるって」としか思いませんよね。

そこで、リスク評価・リスク回避の指導が大切です。

そして家族など介護者、理学療法士などとの情報共有が大切なんです。

 

■「私の患者さんは転倒するだろうか?」

2007 Jan 3;297(1):77-86. PMID:17200478

① 転倒リスク(1年1回以上)

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② 転倒リスク(年間2回以上)

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転倒リスク

★重要なLR+

病歴

脳卒中既往、認知症パーキンソン病、1年以内の転倒歴、常に転倒を恐れている、過去1ヶ月で4日以上の臥床、薬剤(ベンゾジアゼピン、フェのチアジン、抗うつ薬

フィジカル

タンデム拙劣、膝の痛覚・振動覚、10mを13秒以上かかる、膝の高さの椅子で肘かけ使わず立てない など

 

Get Up and Go testも有名ですが、評価は様々です。

僕は簡便なので参考としてやってます(診察室でどこからどこまでが3mかをチェックしておけば、ストップウォッチ(スマホ)さえあれば何とでもできる!)。

 

他には、30秒間イス立ち上がりテスト

30秒間で何回椅子から立てるか(両手は胸元でクロス!)チェック

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https://www.cdc.gov/steadi/pdf/STEADI-Assessment-30Sec-508.pdf

 

薬剤誘発性の転倒としては、。ベンゾジアゼピンなど以外にも、

いわゆるZ-drug(ゾルピデム、ゾビクロンなど:一方エスゾビクロンは問題なし)、認知症治療薬、定型・非定型抗精神病薬、その他降圧薬(β-blockerは問題なしという報告あり)、利尿薬、NSAIDs、ジゴキシン、血糖降下薬などがあります。

 

血糖降下薬については、転倒に関するシステマティックレビュー&メタアナリシスが先日出ていました。

2019 Oct;20(10):1494-1503. PMID:31250977

■骨折と関与する

インスリン (RR 1.49, 95% CI 1.29, 1.73; n = 23 studies)

SU薬(RR 1.30, 95% CI 1.18, 1.43; n = 10)

チアゾリジン(RR 1.24, 95% CI 1.13, 1.35; n = 14)

■骨折を減らす

メトホルミン(RR 0.86, 95% CI 0.75, 0.99; n = 12).

メトホルミンの万能感すごい〜とはいえメトホルミンは糖尿病治療の初期に処方されること、メトホルミンのみならずその他の薬剤についても交絡因子についての検討のため追加のRCTが必要と結論づけています。

色々と学ぶこと多いですね。

 

 

脾臓石灰化

脾臓の石灰化の鑑別>

たまたま画像で映ってくる時、多くはないけれどもありますよね。

嚢胞、血管腫外傷後、虚血・梗塞後、結核、ヒストプラズマ、ブルセラ症カンジダ症、ニューモシスティス(PCP)、鎌状赤血球症、非ホジキンリンパ腫(稀)、トロトラスト(二酸化トリウム:1960年まで使用されていたアルファ粒子放出造影剤)など。

2009 Mar;144(6):808. PMID:19036121

 

転移性腫瘍の可能性は低そう。

. 2015 Mar; 56(3): 133–144. PMID: 25820845 

 

悪性か良性かと言われると、良性の方が可能性が高くなるかもしれませんが、それ自体では否定できなさそう。

2018 Sep-Oct;19(5):930-937.  PMID:30174483

 

そういえばNEJM Images in Clinical Medicineで最近見たような。

日本では中々お目にかかれませんが、35歳Sβサラセミアのケース。

鎌状赤血球(標的赤血球・小球性低色素性赤血球)→溶血→間接ビリルビン上昇→ビリルビン胆石。

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2018 Jan 25;378(4):380.  PMID:29365300

 

何にせよ画像だけでの鑑別ではなく、問診とフィジカルですね。